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変幻本舗

気がつけば・・・ あなたの身体も変化する

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ピアス×2 第五十九話

ピアス×2


第五十九話





浩一が担ぎこまれた部屋は、この店で泥酔してしまった客を


一時的に休憩させる特別室である。


セラフィムほどのクラブになるとその客層も上流階級ばかりだ。


泥酔したといっても粗末な扱いは許されない。


したがって酔いつぶれたお客様はこの特別休憩室に運ばれるのである。


「よいしょっと・・・・ はい、ここでゆっくり酔いがさめるまで仮眠してくださいね。」


カエデは酔いつぶれた浩一をゆっくりとその仮眠ベットに降ろした。


「あ・・・あん・・・・」


だが彼はカエデの肩に回した腕を解こうとしなかった。


「ちょ・・・・ちょっとぉ・・・・・浩一君・・・・・はなして・・・・・」


カエデは小さな声で浩一の耳元で囁く。


「やだ・・・」


それに対して浩一はうっすらと笑みを浮かべながら駄々をこねるように呟く。


「だめよ・・・・怪しまれるからぁ・・・・」


そうカエデが言うと、それまで回していた腕をようやく解く浩一だった。


「はい、じゃあ私は仕事に戻りますので酔いがすっきりしたらまたそこのボタンで


呼んでくださいね。それでは失礼します。」


カエデは業務的にそう言って憮然とした表情で部屋をあとにした。


ベットに横たわり一人残された浩一は、天井を眺めていた。


その眼差しは酔いつぶれたものではなくはっきりとしている。


彼は大量のアルコールを飲んだ振りをして、わざと酔いつぶれたように見せかけて


この部屋への侵入をはたしたのだった。


彼がカエデから言い渡されたもうひとつの使命とは・・・・


酔った客しか運ばれることのないこの部屋に泥酔を装って進入し、


そしてこの部屋の目立たぬ所へ、あらかじめポケットにしのばせておいた


小型の最新型盗聴器を仕掛けることだった。


この盗聴器は、その部屋のみならず隣の部屋の音声までも聞き取る事が出来る


優れものである。


この部屋の隣とは・・・・


壁一つ隔ててそこは新谷達が集まり待機するオーナールームだったのだ。


盗聴器を仕掛けるという危険な役回りをなぜ浩一に頼んだのか?・・・・


それはこの部屋がそういう場所に位置している為、店側の管理も鋭く、


まして従業員同士のしのぎ合いも激しいここでは、店の人間が立ち入る事を


厳しくチェックしているからである。


当然部屋の中は監視カメラで見張られていた。


そして盗聴器の電波も瞬時に察知する装置も設置されている。


だからカエデが進入したり麗羅でさえもこの部屋の出入りには気を配る必要があったのだ。



だが・・・・・



それが一般の客が使用する時間帯はどうだ?


一流の各界の著名人が集うこの店で、泥酔した客を監視カメラで写す事などもってのほかである。


そして今浩一が手にしている最新型の盗聴器は、その電波を特殊な信号でカモフラージュする為、


盗聴器の監視装置には反応せずに盗聴が可能な代物だった。


そんな理由でここへの進入は、客として招き入れた彼に頼むしかなかったのだった。


しかし・・・・・・


もしこれがばれた時は・・・・・・


その不安から、優子には先に店から避難してもらっていた。


彼女まで失敗した時に巻き添えを食わせるわけにはいかない。


そんな状況で今、浩一は一人この特別休憩室にいるのだった。


「さぁ~ってと・・・・・うまくいってるからとっととこれをどこかみつからない所へセットして、


俺もこんな所から逃げ出したいぜ~」


浩一はベットから身体を起こして周りを伺う。


「監視カメラは切られているって言ってたよなぁ・・・・・」


カメラらしきものは見当たらなかった。


もちろん隠しカメラだろう。


浩一はもしもの事を考えて、あからさまな動きはひかえた。


彼は部屋を動き回ってゆっくり壁にかかっている額縁の横に進み


大きく伸びをするフリをして、その額縁の裏にそれを据え付けた。


「ふぅ~・・・・・これでいいだろ?さぁさぁ・・・・ボタンボタン」


カエデが言っていた様に、酔いがさめたらボタンを押す。


するとカエデが迎えに来てくれて、この店を出る。


それでこの危険な場所からおさらばだ。


浩一はすぐにそのボタンを押した。


するとすぐに部屋のドアがノックされる。


コンコン


「お?カエデさん早いなぁ~・・・・」


浩一はすぐさまドアを開いた。


しかしそのドアの向こうにいるのは、カエデではなく


若い男が二人立っているだけだった。


「あ・・・・・・・・・・」


浩一はその二人の男を見て絶句した。


「ほぉ~っら・・・・やっぱりこいつですぜ~アニキィ」


若いチンピラ風の男がそういう。


「どうしておまえらがここに・・・・・」


浩一の顔から見る見る血の気が引いていった。


「いやぁ~、なになに、新谷さんの店なもんで、おれ等しょっちゅう出入りしてんのよ。


まあボディーガードってわけでもないんだけどなぁ・・・んで、今日も店の客を見てたら


先日この前で若い彼女を二人も連れてた兄ちゃんがいたってことだ」


「くっくくくくく」


若い男が声を殺して笑う。


「しかももう一人の女はその時に連れてた姉ちゃんじゃあないか?」


「おまえら!優子は?優子になにかしやがったら!」


「心配すんなって!連れの子は俺らが目を離した隙にいなくなってたよ!


ったく・・・・・ いつのまに帰しやがったのか?」


彼らの口ぶりから優子は無事にここを出た事を知り、浩一はひとまず安堵した。


「オレは・・・・麗羅さんに招かれた客だぞ?失礼があっちゃあ駄目だろ?」


そして二人の男にそう強く言う浩一だった。


「ふ~~ん・・・・・まあ新谷さんに先日この店の前でもめた男が来てますっていったんだよね。


そしたら注意して見張っとけって言われてさぁ・・・・・ んでね~~」


高校生の浩一と、チンピラとはいえ新谷の仲間であるこの男たちとでは


その話術でさえも大人と子供だった。


「あまり酔いもしていない君がこの部屋に運ばれて、ここで何をしてたのかなぁ・・・・


それに麗羅の付き人・・・・あれってこないだ一緒にいたもう一人の女だよなぁ?」


やばい!


この男たちにかなり感ずかれている・・・・


そう思った浩一は動揺した。


「ちがう・・・・彼女は何も関係ない! 僕はただ麗羅さんに招かれて来ただけで、


何もしていないしなにも知らない!」


「じゃあさっきの不自然な動きは?なんだか額縁のそばに行ってたよなぁ・・・・」


「!!なっ?」


ばれている・・・・


浩一の脳裏に最悪の状況がよぎる!


「この部屋は普段客が入るときは監視カメラ切るんだよね。でもそんな怪しいお客だもんで


俺が新谷さんに頼んで特別に監視カメラのスイッチ入れてもらったのよ。


そしたらおまえいきなりあの付き人に回した手を緩めずに抱きついてたよなぁ・・・・」


「ち!ちがう!」


「アニキィ・・・・やっぱりこの裏になにか貼り付けてありますよ~」


万事休すだった


「ほぉ~~・・・・そりゃ~えらいもんが出てきたなぁ・・・・これはこれはジックリと


話を聞かせてもらわんとなぁ」


「うぐっ!」


男は浩一の腕をねじりあげた。


「さあ、こっちへ来てくださいね。手荒なマネはしたくないもんで


大人しくしてくださいよぉ」


そして彼はそのまま二人の男に連れられていってしまったのだった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・




部屋から連れ出される浩一。


しかし浩一の押したボタンに、カエデも気が付いていた。


そしてすぐさま部屋に向かったのだが・・・・


カエデより早くその部屋のドアの前に立つ二人の男に気がついて彼女は身を潜めた。


しかもその二人の顔は・・・・


頭のいい彼女はすぐにその状況を理解した。


まずい・・・・・・


連れさられる浩一をなんとかしなくては・・・・


そこでカエデはすぐに携帯電話を取り出して発信した。


「もしもし?優子ちゃん?ごめん・・・・ 最悪の事態になったの・・・・」


通話相手は先に店を出て待機している優子だった。


「え?ばれたんですか?」


「おそらくそうだと思うわ。だから非常時の為に手渡したメモの行動でお願い!」


ピッ!


カエデは長い通話を嫌い、それだけ言うとすぐにスイッチを切る。


そしてすぐにこの事を麗羅に伝えようと身をひるがえして店内に向かおうとしたが!


ドンッ!


「きゃ!」


彼女の背後はすでに塞がれていた。


「なぁ~んか怪しいと思ったんだよなぁ・・・・おまえなにもん?


誰に頼まれてこんな事やってるんだ?」


そう言ってカエデの身体を突き飛ばしたのは新谷だった。


「いったぁーい・・・・もう!なんなんだよぉ・・・・」


「ん?えらく強気な姉さんだなぁ。何ってこっちが聞きてーよ。


あんなガキ使って盗聴しようって何を調べるつもりだったのかって聞いてんだよ!」


バチッ!!


「きゃ!」


新谷はカエデの頬を張った。


するとカエデはその頬を押さえながらきつく彼を睨みつけて言い返す。


「あんた私にこんな手を上げて、随分と偉くなったもんだね? え?


兄さんに拾われて私らのとこに来た頃は、随分面倒みてやったもんだけどねー!」


ドスのきいた迫力あるその言い回しは、まさに昔のカエデの口から出るものだ。


だが当然それは今の新谷には何の事かさえもわからない。


「はぁ?面倒見ただと?おまえ頭おかしいんじゃあねーか? 何でおまえみたいな


小娘にオレが面倒見てもらうことあるんだよ!」


頬を張られたカエデの口の中からわずかに赤い血が滲んでいる・・・・


新谷はそんな彼女の髪の毛を掴んで顔を引き上げ、それに触れるほど自分の顔を近づけて言った。


「きれーな顔してるくせによぉ・・・ なんだぁ? あたまぁいたい子か?」


バチッ!!


カエデはそんな新谷の手を強く振り払った。


「はなせよぉ!汚い顔近づけんな!」


そんな彼女から少し身を引いた新谷は


「おお~~、こわいこわい。でも、いいね~~。


オレはそんな気のきつい奴、好きだぜ♪ まあいつまでその強さでいられるかだがな。


このあとじっくりとおまえを雇った奴の名前と目的を聞きだして、もう許してくださいって


泣いて頼むほど攻め立ててやるとするわ・・・・ くっくくくく」


彼がそういうと同時に、カエデの背後から忍び寄った男が


彼女の口を白い布で塞いだ。


「!!!うっ? うぐぐぐぐ!!」


ジタバタともがくがそれはほんの数秒で収まる・・・・


(やばい・・・・クロロホルム・・・・・ 意識を切られる前に・・・・・)


カエデは薄れゆく意識の中でかろうじて自らのポケットの中にある機器のスイッチを押すことができた。






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  1. 2012/07/27(金) 14:55:57|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

1. 無題

それも、続けて2話・・・・(爆)
  1. 2012/07/27(金) 15:08:01 |
  2. URL |
  3. 女装子moco(日本パンス党) #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

2. Re:無題

>女装子moco(日本パンス党)さん
まぁ~だまだつづく~よ~♪
・・・・て・・・・・

あまり連続更新するとしつこいかな~?

でも物語はいよいよクライマックスを迎えまする♪

あはは・・・
(´▽`*)アハハ

仕事暇やねん・・・・
  1. 2012/07/27(金) 15:17:43 |
  2. URL |
  3. レン #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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