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変幻本舗

気がつけば・・・ あなたの身体も変化する

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ピアス×2 第四十話



ピアス×2


第四十話




カエデはセラフィムの正面入り口前に立っていた。


無念の死を遂げてから、今再びこの場所へ帰ってきたのである。


自分を自殺にみせかけて殺したあの男は、


再びお店に姿をあらわすのだろうか?


そしてその真実を暴く事など可能なのか?


そんな様々な不安の中、彼女は自分を励ますように


気持ちを奮い立たせようと正面入り口のドアを見つめていた。



だが・・・・



カエデはそのドアを開こうとはせずに、その場から離れていく。


そして正面裏側の小さな目立たない従業員専用ドアを開いた。


(明日6時に店に来い) 


昨日の新谷の言葉がカエデの頭に蘇る。


「何が6時に店に来いよ? 


それだけ言われたら普通正面から入っちゃうって!


なめるなよぉ~~ しんたにぃ~~~」


そんな独り言を呟きながら、中に入るカエデだった。


ドアを開けて中に入ったカエデの前は長い通路になっており、


その左右にいくつものドアがあった。


彼女はそのままその通路を真っ直ぐに進み、


一番奥の事務室へ向かう。


そこまでの途中にあるほかの部屋は、


ホステスたちの更衣室兼控え室になっている。


売れっ子のホステスには豪華な個室だが、


その他各レベルに合わせて控え室も様々だった。


(懐かしいなぁ・・・・この部屋長くいたんだもんなぁ・・・・・)


カエデは自分がナンバーワンだった頃に使わせてもらっていた


個室のドアの前で立ち止まり、しばらく感慨に耽っていた。


(ああ~~だめだめ・・・今日はこんなことやりにきたんじゃあない)


少しして彼女はまたも自分にそう言い聞かせて先へ進んでいく。


そしてようやく事務室の前に着き、ゆっくりとそのドアをノックした。


コンコン!


「どうぞ!」


中からそれに返事をする声が聞こえてきた。


(わあ~~・・・・・チーフだぁ・・・・・・・久しぶりだからなんだかドキドキする!)


シノブ達にも話をしていた、昔お世話になったチーフマネージャーの声が


事務室の中から聞こえてきたため、彼女は笑顔でドアを開いた。


ガチャリ!


「失礼します!」


そしてすぐに大きく一礼をするカエデ。


「ん?ああ・・・・君は?・・・・・」


中にいた人物は机の前で椅子に腰をかけてカエデに目を向ける。


頭を大きく下げていた彼女はゆっくりと顔をあげて前を見た。


「やあ・・・・昨日の・・・・黒石さんだったかぁ?」


(ん?きのうの?)


顔を上げる途中で聞こえる聞き覚えのある男のセリフ・・・・


カエデはその男の顔を見て驚いた。


「あーーー!」


そして思わずそう声を出して指をさしかけてしまったのだ・・・・


「あ~~はぁはははは・・・・・・・・・」


上下関係の礼儀に厳しいこの店では


上司に指を指すなどとはもってのほかである。


カエデはおもわず出した声を笑いに変え、


あげた指はそのまま自分の後頭部へ回して


なんともみっともない誤魔化し方をした。


(どうして?どうしてこいつがここにいんのよ?この席はチーフの席で


 以前私がいた時はこいつのお兄さんだったはずなのに・・・・・)


カエデの前には昨日面接で出くわした新谷の姿があり、


以前お世話になったのは、今目の前にいる新谷の兄だったのだ。


「なに言ってるの?黒石忍さん・・・・だったね?」


うろたえるカエデの事など気にせずに、


新谷は彼女を見つめながら聞いてきた。


「はい・・・・今日からお世話になります。宜しくお願い致します」


新谷の視線を痛く感じながらカエデは淡々と答えた。


「んで?裏から入れることも、


昨日言ってた面接の事を教えてくれた人に聞いたの?」


新谷は自分の仕掛けた言葉の罠を


軽々とクリアするこの女が気になりだした。


「いえ・・・ 正面はお客様の出入りされる場所です。


我々ホステスが仕事時以外で行き来する所ではありません。


だから必ず専用入り口はあると心得ていましただけですわ」


カエデは新谷に大きく微笑みながら余裕を見せてそう説明したのだが、


開店前に正面入り口はまだ硬く閉ざされており、


初めて訪れたホステス志願者はまず


そこでどう行動するのか問われることも


当然の事ながらカエデにはわかっていた事だった。


「ふぅ~~ん?そう?・・・・・まあいいや・・・・・」


新谷はそんな余裕を見せる彼女の言葉に関心を示さずに話を続けた。


「僕はチーフマネージャーの新谷です。


よろしくと言っても昨日会ってますからねぇ。」


「はい、こちらこそよろしくお願いします」


カエデは今はっきりと本人の口から聞いた・・・・・


現在のチーフはこの男になっている。


じゃあこいつの実の兄である前のチーフは?


カエデの頭が混乱する・・・


ピッ!


新谷は机の上のインターフォンのボタンを押した。


「はい?お呼びでしょうか?」


するとすぐに呼ばれた先から返事が帰ってきた。


「ああ・・・麗羅はいるか?」


「・・・・・・・はい、先ほど戻られてここにいます」


「それじゃあすぐに事務室まで来て


新人を連れて行ってもらえるよう伝えてくれ」


「はい、かしこまりました」


彼はインターフォン越しの会話を終え、再びカエデに目を向ける。


「今日からしばらく君には研修をしてもらう。


その期間中に問題を起こさずに


その実力をまわりが認めれば正式にセラフィムのホステスとして


採用させてもらうよ。いいね?」


「はい、どのようにされてもかまいません。お任せします」


「うん・・・・研修中の給料は時給で支給します。


現在ここには20人ほどの研修生がいますが


それら全て時給500円で働いてもらっています。」


「はい・・・どの・・・・??え?え?時給??しかも?えーーー?」


「ん?なにか?」


「あ?いえ・・・・ その・・・・時給制度も珍しかったんですけど、


それ以上にその金額が・・・・」


「うちで働く事はそれだけで彼女たちの勲章になります。


たとえそれが研修中でも同じことです。


だからほんとはこちらがお金を頂きたいくらいなんですよ」



新谷は冷たく言葉を続けた。



「それにこれから着替えていただく研修中にのみ着る


衣装代やメイクなど自分を飾り付ける道具は


ここの物を自由に使ってもらってもかまいません。」


これは以前カエデがここに勤務している時と変わっていなかった。


自分が前にいた時から、ここのホステスならば


店の物を自由に使うことが出来たのだった。


「でも研修生はその使用料として


時給から300円引かせてもらいます。だから時間500円なんですよ」


「はぁ・・・・・・わかりました・・・・・・・」


「研修生たちはみんなが自分を磨いて採用されようと必死なんです。


正式にホステスとして雇用されるとその時給が


一気に10倍や100倍にもなるんですからね。」


「いや?ちょ?正式になると時給がって?


ホステスになってもまだ時給制なんですか?」


「もちろんです。ホステスはそれぞれ指名頻度でランク分けを行います。


そのランクが高い方が高額自給となり、


その他出来高システムでさらに高収入になります」



なんだというんだ?



自分が消されてここ数年で、これほどの変わり様を見せるとは


カエデにとっても予想外だった。


コンコン!


「どうぞ」


ガチャリ!


ドアをノックして先ほど呼ばれた麗羅が部屋に入ってきた。


「すまないレイラ、この人は新人なので研修に回してください。


店内の説明や衣装その他全てを開店までに説明頼みます」


「はい、わかりました」


無表情で答えたレイラはゆっくりと下げていた顔を上げて


カエデのほうに目を向けた。


するとカエデは・・・・


プルプルと少し震えながらうっすらと目に


涙まで浮かべていたのだった。


「な?どうしたの?」


驚いたレイラは心配そうに聞いてくる。


「あ?いえいえ・・・・なんでもないんですよ・・・・


いよいよこれからかぁって思うと少し緊張しただけです」


カエデはすぐにまた笑顔に戻って誤魔化した。


(やばいやばい・・・・でも・・・・・ともみぃ~~~!


ひさしぶりだぁ~~~!)


カエデは今横に呼ばれた以前の同僚である彼女を見ながら


心の中では本名を呟いて再会を懐かしがっていた。


「じゃあこちらへどうぞ」


「はい・・ありがとうございます」


カエデはレイラに言われるまま事務室のドアに向かっていき、


外に出る前にもう一度新谷に深くお辞儀をして外へ出た。


(しっかし!なんかヤダ!何で私が新谷みたいな小僧に


こんなへりくだった態度にならないと駄目なんだぁ?)


昔散々面倒を見てやった年下の男が、


今は自分より年上でしかも・・・・ボスだ・・・・・・・


カエデはそんな事を考えながらレイラの後ろを無言でついて歩いた。


「さあここよ・・・・入って」


コンコン


ガチャリ


「あ!おはようございます!」


「おはようございます!」


「おはようございます!」


中にいた女の子たちがレイラの姿を見て一斉に挨拶を始める。


「はい、おはよう。」


それに返事を帰した彼女はカエデの背中を押してこう続けた。


「新人です。皆さんと同じ研修生なので仲良くしてあげてください。


開店まであと1時間しかないので、


それまでにこの人にもちゃんと準備が出来るよう


皆さんで教えてあげてください」


「はぁーい」


多くいる女性たちだが、返事は一つにそろっていた。


ガチャリ


それだけ言うとレイラはカエデには言葉をかけず、


黙って部屋から出て行った。


「よろしくお願いしますね。黒石忍といいます」


部屋に残されたカエデは大きな声で


前にいるほかの研修生たちに挨拶をした。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


しかしその挨拶に返事を返すものは誰もいなかった。


だが彼女はそんな事より・・・・


今自分の目の前にいる彼女たちの衣装が気になったのだった。


全部で20人はいるだろう・・・・


その全ての女性が、メイド服を身に着けていた。


(わっちゃ~・・・・・マジかぁ・・・・・)


当然自分も今からそれに着替えるわけで、


白と黒のその衣装はあまりにも自分の思惑からかけ離れたものだった。


(ったく!メイド喫茶じゃあないんだからぁ!


・・・・きっと新谷の好みなんだ・・・・


あいつがセラフィムをこんなダメダメにしちゃってんだよぉ・・・・)


カエデは不満に思いながらもとりあえずは自分も


開店の準備にかからなくてはと着替えにかかろうとする・・・



が・・・・・・・



「あのぉ・・・・どこのどれを着れば?それからどこでメイクとかぁ?・・・・」


挨拶にも返事を帰さない彼女たちがカエデにかまう筈もなかった。


ザワザワ!


ガサガサ!


「きゃっきゃ!いやぁ~ん!えー?そうなの?」


「やだぁ!こんなんでいいかなぁ??」


それぞれが懸命に仲のいい者同士で集まって準備をしている。


「おいおい・・・・まじかよぉ・・・・これってイジメなわけ?」


完全に無視をされるカエデはもちろんそんな対応に黙っていなかった。



ドン!




彼女はすぐさま目の前の机を強く大きく叩いてこうさけんだ!


「あんたらね!人が挨拶や質問してるのに目も向けないって


どういう育ち方してきたんだよ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


シーンと部屋が一斉に静まり返る。


しかし次の瞬間それは何もなかったかのように


また先ほどと同じ状態に戻るだけだった。


「おいおい・・・・こいつらなんなのよ?」


まわりの反応に呆れるカエデだったが、


そんな彼女の肩に後ろから手をかけて


呼び止める声が聞こえた。


「黒石さん・・・・」


「ん?はい?」






カエデはすぐに振り返ると、そこには小柄で


すでにメイド服に着替えた女性が立っていた。



  レンのココロ 


「ごめんなさいね、返事も出来なくて。」




「え?ああ・・・・・いいっすよぉ・・・・・」


「私は山上玲於奈って言います。レオナって呼んでくださいね♪」


「あ・・・・ええ・・・・・こちらこそよろしくお願いしますね」


カエデはカワイコぶる目の前の女性に返事を返した。


「着替えならこの中のものを好きに選んでください。


サイズ以外はみんなほとんど同じものを着るんですよ。


だから目立とうと思ったらメイクや言葉使いや身振り素振りで


気を引かないとなかなか研修から抜けれません。


というよりその大半がそのままやめていくんです」


「え?そうなんだぁ?」


カエデはレオナに言われたまま、


衣装のサイズを確かめて着替え始めた。


「ええ・・・・だからここにいるみんなは


もう自分の事しか頭にないんですよぉ・・・・


まわりに構っている場合じゃあない事もわかってるんですよね」


「そりゃーまあわかんないこともないけどさぁ!


でもアレはいかんでしょ?」


カエデは話をしながら着替え始めた。


目の前に女性がいても男性の身体とはばれないほど


カエデの下着姿は美しく見事だった。


「メイクはそこら辺のあいているところを使ってね。あとそれとぉ・・・・


あれ?これって?」


レオナはそこまで言うとカエデの髪の毛に注目して言葉をとめた。


「え?ん?なに?」


「これってウイッグ?ですよね?」


「ん?そうだよぉ?これはウイッグだよ?だめ?」


「ううん?違うの・・・・ウイッグを付ける人も


たくさんいるからいいんだけど・・・・」


「・・・・・けど?・・・・・なに?」


「言いにくいんだけど・・・・そんな安物だと・・・・・」


資金の少ない中で買い揃えたウイッグだった為、


目のこえた人に見せるとその優劣は明らかだったのだ。


「あ~ははは♪ あんたはっきり物言うね~♪ 


気に入ったわ、忠告ありがとうね」


「そんなぁ・・・・ありがとうだなんて・・・・


でももし黒石さんがよければこっちにあるウイッグから


好きなのを選んで仕事の時だけでも変えてみたらどうですかぁ?」


「え?ウイッグまであるの?」


「ええ・・・・ここは女性が変化するものなら


なんでもほとんどありますよぉ」


「わぁ~~ほんとだぁ~・・・しかも高級ウイッグだから


スッゴク髪の毛サラサラじゃん♪」


カエデはこのかわいい小柄なメイドが話しかけてくれてから、


機嫌を直していた。


「レオナちゃんほんっとにありがとうね♪ 


一時はどうなるかと思ったわ♪」


「ううん?よかったわ。じゃあ私も自分の準備があるからこれで」


「うん!サンキュ!」


カエデはレオナにウインクを送り礼を言った。


自分の準備があるからとその場を離れたレオナは、


何故か顔を紅潮させていた。


ドキドキする・・・・


(やだ・・・・・だめだめ・・・・・黒石・・・・


しのぶ・・・・おねえさま・・・・って・・・・・


メチャメチャ格好よすぎだよぉ・・・・・・・・・・・


レオナもうたまらなくなっちゃうよぉ・・・・・)


椅子に腰をかけて鏡の前でメイクをしながら、


レオナは両方の膝をあわせている。


(早く準備をしてまたシノブお姉さまのところに行こう)


ほんの少し話しただけで、


カエデはその魅力で早くも味方を一人確保したのだった。


自分の用意が出来たレオナは


いそいそとカエデの元に戻ってきて声をかけた。


「黒石さん・・・・どうですかぁ?準備できました?」


レオナに背を向けて鏡に向かい座っていた彼女は


その声に答えると同時にスッと椅子から立ち上がって振り返り


レオナのほうを向いた。


「わぁ・・・・・」


ウイッグも変えてメイクも見事に決めたカエデのその姿は、


とても素晴らしいもので上品な中にメイドのかわいさも交えていた。


「すっごぉ~~い♪ 黒石さんてメチャクチャ綺麗なんですね♪」


レオナはカエデの手を握って小柄な身体をピョンピョンと跳ねながら


身体を密着させてくる。


「あはははは~~♪ ありがとね、レオナァ・・・・ あなたのおかげよぉ」



チュ♪



カエデはそんなかわいいレオナの頬に軽くキスをしたのだった。


「あ!・・・・・・・」


するとレオナはその場で固まってしまい


キスをされた頬に手を当てている。


「えへへ~~、じゃあもうすぐ仕事だから頑張ろうね~」


カエデはそんな固まるレオナをそこに残して


自分だけ部屋から外へ出て行くのだった。




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土曜日の午後なので



少し長い目にアップしました。



最後まで読んでくれて有難う御座います。



















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  1. 2012/04/14(土) 11:25:05|
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